神無月十一日
「ぼ、ぼく、ほんとうは、自殺したいんです!」
夢から醒めるとき、寝言を叫びながら起きることはある。けれど空いた襖の向うに友達がいた、いや、家に一人だったとしても、赤面したにちがいない。顔を赫くするなんて、何年ぶりか。
〝君の挨拶が滑稽だといつて笑はれるがよい。そんな時は唯赤面してればよい。その赤面を廻避しようとするや、君は君の芸術を絞めにかゝつてゐるのだ。〟(「芸術論覚え書」中也)
告白は夢を終らせる。
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校舎裏
「ぼ、ぼく、ほんとうは、自殺したいんです!」
その日は人に会う 約束。「昼には妹が来ていました」